世界的な人気を誇るVTuber事務所「ホロライブプロダクション」において、所属タレントの契約解除(いわゆるクビ)というニュースは、ファンのみならず業界全体に大きな衝撃を与えます。
結論から申し上げますと、ホロライブで発生した過去の契約解除の主な理由は、情報の漏洩やコンプライアンス違反といった「企業との信頼関係を著しく損なう行為」に集約されています。
本記事では、特に注目度の高かった潤羽るしあや夜空メルの事例を中心に、ホロライブにおける契約解除の歴史とその背景、そして運営会社であるカバー株式会社が下した決断の真相について、事実に基づき詳しく解説します。

ホロライブにおける契約解除(解雇)の基準と背景
ホロライブを運営するカバー株式会社は、上場企業として非常に厳格なコンプライアンス体制を敷いています。
タレントが引退する際には、通常「卒業」という形が取られますが、これは円満な契約満了を意味します。
一方で「契約解除」は、タレント側に重大な規約違反があった場合にのみ発動される、最も重い処分です。
ここ数年で発生した事例の多くは、第三者への機密情報の漏洩が引き金となっています。
SNSの普及により、個人が発信できる情報量が増えた現代において、VTuberという秘匿性の高い職業を守るための「情報管理」が、契約継続の最重要ポイントとなっていることが伺えます。
潤羽るしあ:契約解除の真相と機密情報の漏洩

2022年2月、ホロライブ3期生の主要メンバーであった潤羽るしあの契約解除が発表されました。
この事件は、当時のYouTube界隈だけでなく、一般ニュースでも取り上げられるほどの社会的な関心事となりました。
本件に関する経緯は、カバー株式会社の公式サイトにおけるプレスリリースでも詳細に報告されています。
企業としての公式見解を確認することで、事実関係をより正確に把握することが可能です。
騒動の発端となったプライベートの露出
事の発端は、配信中に人気アーティストとの親密なやり取りを連想させる通知が画面に映り込んだことでした。
この一件により、ネット上では彼女のプライベートに関する憶測が飛び交い、大炎上する事態へと発展しました。
しかし、カバー株式会社が最終的に契約解除を決断した理由は、この「炎上そのもの」ではありませんでした。
解雇の決め手となった第三者への情報提供
公式発表によれば、潤羽るしあは「第三者に対して虚偽の事実を含む情報を流布し、業務上の機密情報を漏洩させた」ことが契約解除の直接的な原因です。
混乱の最中にあった彼女が、運営を通さずに独断で外部の配信者(コレコレ氏など)に情報を提供し、それが事実とは異なる内容や企業秘密を含んでいたことが、企業としての信頼を完全に破壊したと判断されました。
マネジメント側が事態を収拾しようと動いている裏で、当事者が情報を外部に流し続けたことが、最悪の結果を招いたと言えます。
ホロライブ3期生の絆と運営の苦渋の決断
潤羽るしあは、ホロライブ内でも圧倒的な人気を誇り、スパチャ額でも世界トップクラスを記録していました。
それだけに、運営側にとっても彼女を失うことは大きな損失でしたが、企業ガバナンスを維持するためには例外を認めないという強い姿勢が示された事例です。
夜空メル:突然の契約解除と「機密情報の持ち出し」

2024年1月、ホロライブ1期生の夜空メルの契約解除が突如として発表され、再び衝撃が走りました。
彼女はホロライブ創成期を支えた功労者であり、多くのファンから愛されていたため、その幕引きはあまりにも唐突なものでした。
夜空メルのケースにおいても、運営会社から正式な公告が出されており、規約違反の内容が明文化されています。
夜空メルが犯した規約違反の内容
夜空メルのケースも、潤羽るしあと同様に「機密情報の漏洩」が理由とされています。
カバー株式会社の発表によると、彼女は運営から預かっていた機密情報を、あろうことか第三者に許可なく開示してしまいました。
具体的な漏洩先や内容については伏せられていますが、「会社との信頼関係が維持できない」という文言が並んだことから、組織としての規律が優先された形です。
潤羽るしあケースとの決定的な違い
夜空メルの事例が潤羽るしあの時と大きく異なっていたのは、本人および周囲のタレント、そして運営側の対応です。
潤羽るしあの際は、虚偽情報の流布といった「攻撃的」な側面が見られましたが、夜空メルの場合は、本人が深く反省している旨が強調されました。
同期のメンバーも彼女の過ちを認めつつ、悲しみの声を挙げるなど、より「悲劇的なコンプライアンス事故」としての側面が強い印象を与えました。
信頼関係の構築における難しさと教訓
夜空メルほどのベテランであっても、たった一度の「情報の取り扱いミス」が、長年築き上げてきたキャリアを終わらせてしまう。
この事実は、VTuberという職業がいかに企業の信用に依存しているかを、改めて世に知らしめることとなりました。
過去の契約解除事例:人見クリスと魔乃アロエ

ホロライブの歴史を遡ると、初期にも契約解除やそれに近い形での引退劇が存在します。
これらは現在のホロライブの管理体制が構築される過程で起きた「成長痛」とも言える出来事でした。
人見クリスの契約解除(ホロライブ1期生)
ホロライブ1期生としてデビュー予定だった人見クリスは、デビュー直後に契約解除となりました。
理由は、タレント個人のプライベートな金銭トラブルが発覚したためです。
2018年という初期の段階で、すでにカバー株式会社は「法に触れる可能性のあるトラブル」に対して厳しい対処を行っていたことが分かります。
魔乃アロエの引退(ホロライブ5期生)
5期生としてデビューした魔乃アロエは、厳密には「契約解除」ではなく「本人希望による引退」ですが、実質的には規約違反が背景にありました。
デビュー前のテスト配信のアーカイブが残っていたことや、情報管理の甘さが露呈し、誹謗中傷に晒された結果、精神的に継続が困難となりました。
この事件以降、ホロライブはデビュー前の研修や、タレントを守るためのセキュリティ対策を大幅に強化することになります。
なぜホロライブは「情報漏洩」にこれほど厳しいのか
ファンの中には、「一度の失敗でクビにするのは厳しすぎるのではないか」という意見も存在します。
しかし、カバー株式会社が契約解除という断固たる処置を取るのには、明確な戦略的意図があります。
経済産業省が策定した「営業秘密管理指針」においても、情報の不正な持ち出しや漏洩が企業の競争力を著しく削ぐことが指摘されています。
現代のビジネスにおいて機密保持は法的にも極めて重要な位置付けとなっており、これはエンターテインメント業界も例外ではありません。
(参照:経済産業省:営業秘密〜営業秘密を守り活用するために〜)
企業ガバナンスと投資家への責任
カバー株式会社は東京証券取引所グロース市場に上場している企業です。
企業としての信頼を担保するためには、所属タレントの不祥事や情報漏洩に対して、一貫した厳しい姿勢を見せる必要があります。
東京証券取引所が定める「コーポレートガバナンス・コード」では、上場企業に対して透明性の高い情報開示と、不祥事防止のための内部統制の構築を強く求めています。
カバー株式会社の厳格な対応は、こうした上場企業としての責務を果たす一環と言えます。
(参照:日本取引所グループ(JPX):コーポレートガバナンス)
「人気者だから許される」という前例を作ってしまうと、企業全体のコンプライアンスが崩壊し、株主や提携先からの信頼を失うことになりかねません。
他のタレントとスタッフを守るための防衛策
一人のタレントが機密情報を漏らすことは、他の所属タレントのプライバシーや、未発表のプロジェクトを危険にさらすことを意味します。
また、スタッフが何ヶ月もかけて準備した企画が、一人の軽率な行動で台無しになることもあります。
契約解除という決断は、残された多くのタレントと、日々彼らを支えるスタッフの環境を守るための、究極の「防衛手段」なのです。
まとめ:ホロライブ契約解除の歴史が示すもの
ホロライブにおける契約解除の歴史を振り返ると、そこには常に「信頼と責任」というテーマが流れています。
潤羽るしあや夜空メルの事例は、人気や実績がいかに高くとも、企業の根幹を揺るがす行為には厳格な対処がなされることを証明しました。
読者の皆様の中には、クリエイターとして活動されている方もいるかもしれません。
現代のインターネット社会において、情報の取り扱いや法的トラブルは、一瞬にしてキャリアを破壊する力を持っています。
もし活動中に予期せぬトラブルに巻き込まれたり、法的判断に迷うような状況に陥ったりした場合は、弁護士保険などのサービスを活用し、自身の権利と立場を専門家に守ってもらう備えをしておくことも、長く活動を続けるための一つの知恵と言えるでしょう。
今後、ホロライブから契約解除という悲しいニュースがなくなることを願いつつ、私たちは一ファンとして、ルールを守って活動するタレントたちを応援していきたいものです。